クラシック「ではない」分野のバイオリンってどんなの?

などという質問に,序立てて丁寧に説明していると,多分,再来年くらいまで語らねばならないので,もう映像に頼ってしまう.ようするにこういうのですよ.

 これは,Leahyというカナダのバンドです.ジャンルで言えば,スコティッシュになるでしょうか.

より正確には,(この段落は,これ以降,ウンチクですので一息にナナメ読みしてください)――カナダにケープ・ブレトンという島がありまして,ここは19世紀から移住してきたスコットランド人が一大コミューンを作っていて,本国以上にスコットランド文化,その中でも特にスコットランド音楽が根付いている土地と言われています.で,その民族音楽が,すぐそばのアメリカのエンターテイナー業界に影響を受けた結果,ロック・ミュージックのフォーマットで,こんな風にカッコいいバイオリンを弾きまくる音楽になったわけです! 

とまぁ,半端な知識をひけらかしてみたわけですが,ようするに何が言いたいかというと,上の説明で「民族音楽」「エンターテイナー業界」というキーワードが示すように,これこそ,ノン・クラシックのポピュラー音楽で,このサイトでは,こういう音楽を演奏する方法について雑談混じりに言及しますよ,ということです.もちろん,世界にはゴマンと民族音楽があり,新しい音楽も,日々,作曲されているので,上記はほんの一例に過ぎません.(過ぎませんのですが,私が言及できる範囲も相当に限られています.ご了承ください)

ところで,一応,保身のために予防線を張っておきますが,「フリースタイル」というのは,決して「アンチ・クラシック」というわけではありません.いろんな奏法を楽しもう,という程度の話です.クラシックの奏法がハマる曲なら,そのように弾けばかっこいいし,縦乗りのダンス・チューンのノリを出したいなら,シャッフル奏法を身につければいいのです.あるいは,ドラム入りのバンドでライブをするなら,エレキ・バイオリンの音作りなんかも必要になるでしょう.

ところが,コレを実践するのは,なかなか楽じゃない.

なぜなら,現状では,クラシックとノン・クラシックの間には,不幸にして交流が少なく,完全に世界が分かれてしまっているからです.そのため,クラシックのバイオリン教室に10年通っても,シャッフルのノリでダンス・チューンを弾く術を知る機会はまずないでしょう.逆に,民族音楽のバイオリン奏法を独学で学んだ人は,何かの機会に,改めてクラシック・バイオリンを学びなおさない限り,楽器の響きを最大限に引き出すことなく,いつまでも潰れた野太い音をかき鳴らし続けるでしょう.

そんな中,クラシックには,その名の通り,長い歴史の中で積み重ねられた伝統的な教育ノウハウとサポート体制が充実しています.まずバイオリン教室で基礎を学んで,上達したらもっと上等な先生について,音大に進んで,コンクールでキャリアを磨いて,オーケストラに入るなり,ソリストになるなり,先生になるなりといった道が示されていて,誰もがどこかのフェーズで研鑽を積むことができるわけです.それにひきかえ,民族音楽を始めとしたノン・クラシック分野には,ほとんど何もありません.弾きたい人が,自分で学習方法を探して,自分で練習場所を見つけて,なんとか一緒に演奏してくれる仲間と出会って,それでやっと人前で弾く機会に辿りつける,という状況です.もともとポピュラー音楽ゆえに,メロディもリズムもとっつき安くて,奏法自体も簡単なのに,実際は,趣味として音楽活動するための敷居が恐ろしく高い状況なのです.そりゃ「やっぱやめた.面倒くさいんだもん」ってなりますわな.

そこで,クラシック・バイオリンではなく,不足がちなノン・クラシック寄りの情報を紹介して,貴方のプレイ・スタイルに選択の幅を提供しましょう,というのが,「フリースタイル」の趣旨です.この「選択の幅」ってのがミソです.ハッキリキッパリぶっちゃけて言うと,この世にはバイオリン以外にも面白楽しいことは山のようにあります.それなのに,趣味でバイオリン弾きたいと言っている人に,伝統的な修行の「クラシック道」だけを示して,不要でつまらんプレッシャーを与えるのは愚かなことです.やりたい音楽くらいこっちで決めさせろよ.なぁ?

 

あと,もう一個,ぶっちゃけていうと,こっち側には同好の士が少なくてさぁ.