バイオリンほど汎用的な楽器はありません.

 

基本性能がものすごく高いので,人間の無限の表現欲求にほとんど対応できてしまうのです.ですから,その時々によって,全く別の楽器のように性格を変えます.卑賤民の商売道具だったり,貴族の嗜みだったり,悪魔の楽器と呼ばれたり,天上の響きを称えられたり.超絶技巧のソロも弾ければ,黙々とリズムも刻める.たいしたモンだ.

 

そんな「万能」楽器ですから,自由にいろんな楽しみ方をしたいですよね.そこで,ここでは,敢えてバイオリン教室や市民オケのような間口の広いバイオリンとの付き合い方については省略して,もうちょいなんというか,「ナビゲータがいなければ入り込めない小道」みたいな活動を紹介しようと思います.要するに,こっちの方が手軽だし楽しいよ♪っていうニコヤカな笑みを浮かべたお誘いです.

 

●バンドで...

 

個人的な例で恐縮ですが,私は,超がつくほどポール・マッカートニーのファンでして.1990の初(祝!)日本公演は脳裏に刻まれているし,1993年に受験に失敗したのも2回目の来日が原因です(もちろんこのライブだけで失敗するほど頭のネジが緩かったわけじゃありません.この年にはキンクスの来日ライブもあったんです).2002年の(最後の?)ツアーでは,初日と最終日の2回を堪能しました.

 

で,そんなんだから,当然,中学生くらいになるとビートルズのコピーバンドは通る道じゃないですか.ところが,かつて組んだとあるバンドでは,ポール役のベースだったにもかかわらず,なんか面白いからバイオリン入れろ,と言われて,「はぁ?ポールにバイオリン弾かせるなよ!」と憤ったものです.ところが,"I Will"という曲に,適当なバッキングをつけてみたところ,これが,かなり!!いい感じでした.以後,そういう目で探すと,バイオリンの音色が合う曲ってのは,意外とそこらじゅうにあるもんです.このあたりの感覚が自分の原点だと思っています.

 

それはいいけど,バイオリン弾きながら歌うのは無理なので,結局,ベースばかりかボーカルも奪われてしまった.いい曲なのに! (関係ないですが,この曲はさりげなくベースがスキャットなので,ギターと口ベースで手軽に宅録できます.本当に関係ない話題ですまんけど)

 

●野外フェス

 

シーズン(主に夏)になると,「フェス」と呼ばれる野外コンサートが,いたるところで開催されます.その中でも,いわゆるロック・フェスティバルではなくて,アマチュアによるアコースティックを主体としたフェスが,フリースタイル・バイオリンの活動の場になります.

 

こういうフェスは,大抵,音を出しても近所迷惑にならないキャンプ場などに,アコースティック楽器を持ち込んだ団体が出現して,ステージを作り,その周りにテントを張り,そして,野外ショウが始まります.

 

バーベキュー&ビールで見物している観客も,ほとんどがプレイヤーですので,興が乗ってくると,気のあったメンツを集めて,そこらで,適当な編成のジャムバンドを結成して,ステージに上がってきます.演奏する曲は,(フェスの趣旨にもよりますが)いわゆるトラッド・ミュージックが多いでしょう.ラテン好きは,チャランゴ(小さなギターみたいなの)とケーナ(笛)で,コンドルが飛んでいくし,激しいアイリッシュ・バンドが出てくれば,そこら中で,偽アイリッシュダンスが始まる.・・・退屈なフォーク野郎が出てきたら,バーベキューに戻る,と.

 

翌朝,死ぬほど暑い太陽の下,楽器を背負って会場を後にするとき,絶対来年も来よう!と心に誓うのです.

 

●パブやライブ・バーで

 

ここ10年ほど続いたアイリッシュ・ミュージックの流行は下火になった感がありますが,その代わりすっかり市民権を得たみたいで,毎週どこかのアイリッシュ・パブで,飲みながらジャムセッションするイベントが開かれています.こういう店は,(酒代の出費に目をつぶれば)とてもよい活動基盤になります. 仲間も増えるしね.

アイリッシュパブじゃなくても,演奏スペースがある飲み屋は狙い目です.ライブハウスみたいに大音量が出せない店舗が多いので,勢いアコースティック系の音楽が中心になるからです.カッコいい曲を,何ヶ月か練習しておいて,週末のフリーステージなんかで披露すると,なかなか拍手喝采を浴びたりして,い~い気分になれるんですよ.店にオッサンばっかりじゃなければ,もっといいんだけどな.

 

その他,フォルクローレ,ブルース,ブルーグラス等々,少し街を探せば,なんらかのジャンルで,セッションや飛び込み演奏OKなお店が見つかるはずです.ジャズは一大勢力ですね.そういう小さなコミューンでは,そもそも仲間が少ないので,バイオリン志望の初心者なんて大歓迎してくれるはずです.まずは偵察に行くと活動が広がること請け合いです.

 

そんな店はなかった? じゃあ,次は大学だ.近くに大きめの大学はないですか.つまり学生の作ったサークルに入るという戦略.一人の力では活動を維持できなくても,団体の力をもってすれば定期的な活動が容易になります.暇を持て余している学生なら,本来学業に振り向けるべきだったエネルギーを惜しげもなく消費して,充実した音楽活動の基盤を作ってくれる,かもしれません.

 

...とりあえず,こんなところでしょうか.それぞれの詳細は別途.