バイオリンの買い方の話をします.

私は,基本的に,お金がないので趣味に大金をかけないポリシーの持ち主です.類は友を呼ぶというわけでもないでしょうが,どういうわけか身の回りの知り合いには,初めてのバイオリン購入時に「君ぃ,"がるねり"というのが良いって聞いたんだがね」みたいなことを言う人間はいませんでした.逆に,友人たちの「バイオリンの買い方を教えろ」という相談に乗ると,必ず「コスト・パフォーマンス重視」とか,「何を犠牲に何を得るか」という,"一人暮らし応援セール"の家電カタログみたいな情報整理が必要となり,そんな不景気な作業を繰り返すうちに,「ビギナーなら最低限このくらい」という条件も見えてきました.ここで主張する内容は,それらの実例に基づいた考察です.あくまで個人的な主張にすぎません.ご指摘,ご意見,大歓迎です.

さて,「どんな楽器を買えばいいのか?」という疑問に対する最も無難な回答は,「価値観は人それぞれ.これを買えばよい,と決めることは出来ない」です.万人に対して矛盾なく回答しようとすると必ずこうなるんですが,これでは相談に乗ってもあんまり感謝されないまま終わるので,ここはひとつ,以下のような境界条件をいくつか設定して,ピシャリと具体的な回答を打ち出したい所存です.

●ビギナーを対象とする

●あくまで趣味の範囲で予算を立てる

●最も低価格層に具体的な相場"下限"を設定する

ちなみに,「趣味の範囲」とは,少なくとも購入時点では,金をとって人に音を聞かせることを想定しない,という意味です.

OK.では,理系の文章作法に従って,先に私の結論をスパッと書いてしまいます.

「当面,買い替えを考えずに長期にわたって演奏活動したいなら12万円以上,早期に買い替えを前提として最初の練習用楽器と考えるなら6万円以上,ただ今だけ弾いてみたいなら3万円以上,インテリアに1万円

はっはっは.値段だけ.乱暴ですね.ま,個人的な意見に過ぎません.ですが,多分,一番知りたいのはこのあたりの値ごろ感じゃないでしょうか? この値ごろ感について,当然,多くの異論があると思いますが,結論に至る考え方自体は参考になると思います.以下,要点を見出し風にまとめて,一旦ここは閉めます.

●貴方が買うものはバイオリンだけではない!

●貴方はどんな楽しみ方をしたいのか

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※ 追記:

ここで書いた価格帯について.

冗談めかしてあっさり金額を書いているので,軽く読み飛ばされ気味ですが,この金額は,かなりの数の成功,失敗の購入事例を見てはじきだしたものです.

例えば,「今だけちょっと弾きたい」程度の気持ちで,1万円程度の楽器を適当に買ったとします.しかし,その価格帯の楽器は,キチンと調弦できないリスクが高いのです.なぜなら,大概,安すぎる楽器は「糸巻き」部分の作りが酷いからです.この機構には,ある程度の精密さが求められるため,それなりの工程を整備して,品質管理された製品でないと使えるレベルにないのです.チューニングすらできない楽器では,インテリアとして飾るくらいしか使い道がありませんよね.そこで,その部分がしっかりしている最低価格を探します.すると,弓などと合わせると,どうしても3万円程度の金額には達してしまうのです(例外はありますが,個々の製品の宣伝をしてもしょうがないですしね).

このように,用途別に,失敗例を成功レベルまで押し上げるために,どのくらいの金額を補填すればいいのか,という視点ではじき出したのが上記の金額です.相当に正鵠を射ていると自負していますよ.このウェブサイトの価値の大部分が,この結論といっても良いくらいです.