箱根フェス2013の話題,参加報告(1)の続き.

参加報告その(2)では,せっかくなので,箱根フェス自体の話と,観戦したバンドのレビューなどを書いておきましょう.

箱根フェスの特徴は,なんといっても,出演バンドの多さ! 各地からミュージシャンが馳せ参じます.例えば,今年,2013年のタイムテーブルを見ると,土曜日は朝の8時から真夜中の1時半まで,ミッチリと10分刻みにバンドがリストされています.17時間と30分を10分で割って,ざっと105バンド! これだけのバンドがわずか10分枠を与えられて,次々にステージに登場しては消えるわけで,ある意味,その年のバンド品評会といった趣があります.

ところで,このフェスでは,小高い丘の上にステージがあり,そのふもとにキャンプサイトが広がっています.そのため,他の人の演奏を見るためには,生活スペースであるテントから,えっちらおっちら悪路を登って行く必要があります.勢い,一旦登ると降りるのが面倒ですし,逆に降りてしまうと,上でやっているパフォーマンスが見えなくなるので,バーベキューなどのキャンプ活動に集中することになります.この,観戦のON,OFFが非常にハッキリした構造も,箱根フェスのちょっとした特徴でしょう.

そんな箱根フェスで,土曜日の17時前後,および20時台,21時台に見たバンドをちょっとずつレビューします.

Orange

北大の学生バンド.早くて手数の多い体育会系な勢いにのみ込まれて,「うわーすげぇ」ってなる.ドブロとフィドルによるソロの冴えに目が行きますが,リズム隊も素晴らしいやる気に満ちています.とにかくメンバー全員のモチベーションが高いのがひしひしと感じられます.

【POISON BISCUITS】

自分たちの演奏が終わった直後のバンドだったので,会場後ろの方で記念撮影やらなんやらしていたのですが,非常に良い雰囲気で紡がれるドク・ワトソンのDeep River Bluesが聴こえたので,思わず注目しました.リゾネータとギターの二人が,この超有名曲を演奏していました.こういう定番曲を「ああ,あの曲ね」とスルーされないように聴かせるには,逃げのない,相当な地力がないと無理です.上手い.

そして,湿気の強い中,バイオリンをしまうために,さっさと下に降りて行ってしまったので,観戦は一旦中断.食事を終えて,20時過ぎに,再び椅子をもって上がってきます.

【メリー・アンド・ココア・ストリングス・バンド】

これも北大の学生バンド.バンジョーのいない4人編成.ボーカルが雰囲気あって面白かったな.フィドルがMCで,「今年,(卒業年の)6年目にして初めてバンドで箱根フェスに来れて嬉しい」とコメントすると,観客席から「来年もおいで」と声が飛んで,せっかく良い雰囲気になったのに,ギターがチューニングに手間取って間が持たなくなっていたのが笑えた.いや,High Lonesome Soundは,コーラスもソロもかっちり決まってて,すごく良い出来で,全員かっこよかったぜ? (プログラム表記が間違っていて,本当は「メリーランド~」らしい)

※ しばらく様子を見たんですが,ブルーグラス界隈では,ライブ演奏の動画は無断掲載OKと判断しました.じゃあ,知人の演奏から,少しずつ切りだしてぺたぺた貼っていきます.

【INSTEAD OF NET】

例年のように,IONは一曲だけ.Dawg's Rag.マンドリン,フィドル,ギター,ベースと,いつもより小編成な感がある.われらのバンドでも活躍してくれたフィドルが,マンドリンとギリギリ感のあるエッジの効いた圧巻のソロ合戦を繰り広げてくれて,ものすごく聴きごたえがあった.

プレイヤー視点で見ると,アイコンタクトでソロの長さを図っているのがニヤリと笑えるポイント.

(おわるよ?)(いや,そこはもう一周だろ)みたいなやりとりがあって,アドリブの尺が延びる(笑)

【RIVER THE SHUFFLE】

東北大のOBと現役の混合バンド.豊かな声量で歌い上げるボーカルに目がいく.そんなボーカルに乗ると,やや落ち着いたリズムになるが,ソロ楽器隊は,もっと突撃したくてたまらなそうに見える.このパワーにあふれたフィドルとノリの良いベースは,我らのバンドでも活躍してくれました.

この辺から,ビデオに映っている演奏者の顔が,画面の上にフレームアウトするようになる.つまり,手持ちして撮影しながら,時折,意識を失っている.次に覚醒したらひとつバンドが飛んでいた......

【有田純弘&フレンズ】

ベースとギター2本で,ギターの奇麗なクリーントーンを聴かせるインストを,とつとつと.フラットピックを手に,一音入魂で弦を震わせる快感を知っている人には堪えられないサウンド.こういう静かな演奏になると,箱根フェスのPAシステムとエンジニアさんが,ものすごく良いことが良く分かる.

【NEW CLINIC BAND】

速さや手数の多さではなく,激しさやトリッキィさでもない.ボーカルのゆるぎない力強さと骨太な演奏で押すブルーグラスバンド.こういう重量級のバンドになるには,相当に長い時間をかけて練習する必要があるんだろうな,という感想.

【HERES FOR THERES】

シェリルクロウのEveryday is a winding roadを,バイオリン,鍵盤ハーモニカ,マンドリンによるアンプラグド・バージョンでカバー.女性ボーカルのソウルフルなハスキーボイスで会場もテンションが上がる! 個人的には,ウワモノ楽器だけでやっていた,あまりコードの変動のないバッキングが,打ち込みのシークエンスみたいで面白かった.

【OッK BROTHERS】

最初のリフ3音で分かる,キンクスのAll day and all of the night.ステージに上がって,デイブ・デイビス役をやりたかった.大好きなキンクスだったから,かろうじて覚醒していたようなもので,落ちる寸前でした.エフェクトをかけたマンドリンやバンジョーの音,ギターボディを利用したパーカッションも面白かった.あと,ビートルズやるなら,コーラス増やしてくれー.足りないパートを埋めたくて,寝られやしない.それからそれから,ジョニーホートンのNorth to Alaskaは,もともと好きな歌ですが,去年,仕事でアラスカに行ったときに空港で流れていたのを思い出しました.よくあんな低い声出るなー.

【とも様キングス】

いつものクオリティでした.もう完全に,受け身に入っていたので,特に言うことはありません.人気投票2位のエンターテイメントを,ひたすら楽しく聴いて,彼らが終わると,どっと疲労感が押し寄せて,限界を悟りました.よって,ここまで.

と,思いきや,下に降りて寝る準備をしいていると,「え? 寝るの? 今からチェロとやるから見てよ」という感じで誘われて,チェロ? と何やら魅力を感じて再びステージに登る.

【ジミー赤澤】

この方,日本を代表するオールドタイム・フィドラーと理解しています.非常に力の抜けた弓さばきで,音を転がすような演奏です.円熟した小気味の良さを堪能.

【NOTHING BEATS】

これ,チェロが入っている.低音のリフ&カット奏法によるバッキングが,ありていに言うと,プログレを連想させて,個人的にものすごく気に入ったので,人気投票で推しました.チェロのリフがもっとドンドン動く曲をやってほしいな.バイオリンもボーカルもピカイチで,ベースとバンジョーのサポートも控えめだけど素晴らしかった! それにしても,発音いいな! あと,ステージ慣れしているみたい.

【村田食堂】

茅ヶ崎のボチボチでやっているときから,何度も見聞きしていますが,今回はずいぶん内省的な世界観でパフォーマンスしていた感があります.長くやっているバンドが持つ,こなれた自然体な音が心地よい.良い声だ.

心地よさがそのまま睡魔に変わって,本当にここまで.ステージの騒ぎを背に,ふらふらとテントまでたどり着いて,周りのジャムを聴きながら寝ました.

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さて,日曜日は,本来ならコンベンションがあるのですが,雨のため今年は中止.実は,一緒に来た楽器職人と共にフレットバイオリンのネタを仕込んでいて,土曜日のうちにエントリしていました(エントリは一番目でした.←もともと,そんなに張りきって前日からエントリするようなイベントではないのだ).まぁ,来年かなぁ.ちなみに,この面白楽器の試奏レビューはこちら.

※ コンベンションとは,一発芸コンテストみたいな,面白企画です.既にステージのタイムテーブルが終了した後に開かれるので,実は,メイン以上に注目度が高かったりします.

※ ちなみに,フレットバイオリンは下の画像のようなものです.同行した楽器職人のウェブ工房ショップに詳しい説明が書いてあります.いろいろな制作秘話やウンチクがあるようです.

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