バイオリン買った! 初めて音出してみる! という状況にある人のためのナビゲーションを綴っておきます.つまり,この記事カテゴリは,入門編という位置づけになりますね.

じゃ,お店でバイオリンを購入した翌日,という設定で行きましょうか.

土曜日.長い惰眠をようやく打ち切り,ベッドからドテ,と転げ出た貴方は,マイ・バイオリンのことを思い出して,瞬時に覚醒します.そういえば,夕べは,自分のパートナーになる楽器に最高の名前をつけようと,命名辞典をめくりながら明け方近くまで起きていたんだったっけ.

目を上げると,黒いケースは,昨日と同じようにちゃんと机の上に静かに乗っています.よしっ,さっそく,音を出そう!

●いや,その前にまず手を洗いましょう.

普段,あまり意識しませんが,人間の皮膚はずいぶんオイリーです.油まみれといってもよいでしょう.私は学生のころ,実験室でビーカーやフラスコを扱っていたのでよく知っています.実験準備のために,ぴかぴかに磨き上げたガラス表面に,指の先端で一瞬触れただけで,そこから虹色のアブラの皮膜がパァッと広がるのです.

普段,弾くときは,(もちろん手を洗うに越したことはありませんが),そこまで神経質にならなくてもいいでしょう.しかし,初めてバイオリンを弾くときは別です.なぜなら,最初に「弓に松脂をなじませる」作業が必要だからです.

●弓に松脂を馴染ませる

弓の毛,これは馬の尻尾の毛です.

ドラえもんの『もどりライト』のエピソードで,「バイオリンの弓くじらのひげでできているのかな」というオチがあって,これの影響で,「すごく高級な弓の毛は,鯨の髭である」と信じている人が多いんですが,実は,毛の部分は馬の尻尾(あるいは,その合成素材)です.鯨の髭は,高級弓で,把持した手がかかる根元の部分に巻きつける装飾として使用されます.

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実際,ドラえもんでも「弓の"毛"が鯨の髭」とは言っていないんですよね.

いや,話がそれました.

......ええと,なんだっけ?

そうだ.弓に松脂を馴染ませる話だった.

買ったばかりの弓でバイオリンの弦をこすっても,つるつる滑るばかりで音が出ません.擦弦楽器というくらいですから,弓の毛がしっかり弦を摩擦して,接触面から力を伝えなければなりません.そのために,弓に松脂を塗ってちゃんと弦に毛が引っかかるようにします.

新品の弓は,まっさらですから,多少ゴシゴシ塗っても,弓の毛全体には松脂が付着せず,その状態でバイオリンを弾くと,すぐに表層の松脂がとれてまた音の出が悪くなります.ここは根気よく,ごしごし塗りましょう.

で,その松脂を塗るやり方などの,詳細は別に書きますが,このときに,たくさん松脂に触りますし,初心者の貴方には,準備万端整えて,手早く一直線に作業を完了させることはできず,ワタワタと,松脂のついた手で,弓や楽器のいたるところを触ることになるでしょう.

ここで,先に述べた「手を洗え」という話に戻ります.松脂と手の汚れ,松脂と汗の組み合わせはやっかいです.弓の毛がすぐにダメになってしまいます.

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2013年12月にライブを予定しています.そのライブメンバーを募集しています.ご興味のある方は是非.