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先日,久しぶりに「カットの弾き方」を書きあげて,達成感に浸りつつ,ツイッターでブログ更新を宣言したところ,「カットの弾き方書いたよー」と宣言をするつもりが,「ロールの弾き方を書いたよー」と書き間違えてしまいまして.で,その直後にリツイートされてTLのかなたに間違い発言が拡散していくのをなすすべなく茫然と見守ったのでした.しょうがないから,さらっと「ロール」の方を書いて前後関係をうやむやにしたい.

さて,アイリッシュの演奏を聴いていて、バイオリンが、「なにやってるか分かんない」No.1 は、個人的にはロールでした。トリプレットやカットは、音から奏法がイメージしやすいので、力任せ、あるいは試行錯誤でなんとかなります。しかし、ロールという技は、音だけでは全然手がかりにならない。演奏者の手元を見てもまだよく分からない。もちろん、タネが分かってしまえばなんてことないんですけどね。

さて、じゃ「ロール」ってなに?というところから。

私の大好きなアイリーンアイヴァースの「クロウリーズ/ジャクソンズ"」というメドレー曲のコピーです.当時,北海道在住の友人と,東京の私とでRRP(確か,リモートレコーディング......なんちゃら,忘れました)というユニットを作っていて,送り届けられたギター録音に合わせて,後からバイオリンを重ねたものです.アイリーンの演奏のアグレッシブさやリズムのキレを再現したかったんですが,とても演奏では再現できなかったので,アグレッシブな唸り声とか,チャッ!ツクツク・チャッ!とキレのいいボイスパーカッションモドキを添加してそんな感じの雰囲気を出そうと,完全に方向性を見失った努力の跡があります.そんな気持ちだけで弾き飛ばした10年前の音源です.同じ曲を弾いているはずなのに,なぜか先にバイオリンが弾き終わってしまい,残った時間を持て余していますね.懐かしい......

で,そんな説明はどうでもいいや.ただ「ロール」が入っている手持ちの音源を適当に引っ張り出しただけです.そう,実は,冒頭から何度も「ロール」が出てきます.速すぎて分からないので,そこだけゆっくり弾いたフレーズを抜き出します。

これがロールです.指使いで言うと,ファースト・ポジションで,開放弦=0,左手の人差し指=1,中指=2,薬指=3としたとき, 12101 という5つの音をひと弓で弾きます.デモ曲のロールはテンポが速すぎたために表現しきれていませんが,本来は,ひと弓の音の中で,クレッシェンドするように後拍を強調するニュアンスがポイントです.

図にするとこんな感じ.

rollの説明.gif

2拍目のアタマにくる「1」の運指.ここに向かって音量が増えているのが分かると思います.わずかにシャッフル(タタタタ、ではなくタッカタッカという拍の取り方)なので,ピーク位置が真中より後ろにずれてます.

デモ曲の中で,このロールのニュアンスがもっとよく出ているのは,1:26あたりでロール入りフレーズが三連続するところですね.ロールがちゃんと後拍強調で弾けてる.

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というところまで,2006年のブログからサルベージした内容に基づいて加筆したんですが,簡単に動画が撮れるようになった今,下の動画を付けくわえます.超絶わかりやすい! 最初からこれ出せよって感じですよね.

 

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エルデ楽器という友人の工房ショップで,上記のようなノンクラシックなバイオリン奏法をレッスンしています.気になった方はこちらへ♪ 

トラッドには、いくつか独特な演奏法があります。

特に、ケルティックな小技は、単純な旋律に、哀愁のある味付けをします。さりげない隠し味ですが、ピリリと利いて琴線に響きます。そんな小技の一つ。カット(cut)について、いつものように、我流で説明してみようと思います。

カットとは、非常に素早く装飾音を入れるテクニックです。言葉で説明するより、見てもらう方が早い。こんな感じ。

途中でトリプレットなども出てくるので紛らわしいですが、注目ポイントは出だしのフレーズです。最初の5音目からクラシックでいう、トリルを3音だけ素早く弾いているような装飾、これがカットです。

やり方は、装飾を入れたい音の、1度上の音、攻めたい場合は2度上の音を、「極わずかに」「瞬間的に」入れます(ちなみに,「攻めたい」というのは、カットそのものを目立たせて、その効果を浮かび上がらせたいという意味です)。ベストのタイミングは存在するのでしょうが、個人的には、速ければ速いほどイイカンジです。"カット"というくらいなので、装飾音そのものは実は鳴らなくてもいい――曲にもよるのですが、鳴らなくても基本のメロディには影響がない装飾音なのです。思うに,装飾「音」とはいえ、実は音が途切れてリズムにキレ味が出るところに本質があるような。

もう一度、ややゆっくりバージョンで。

次に,カット部分だけを取り出して指使いを見てみましょう。

上の動画では,カットの役割を分かりやすくするために,カットなしのフレーズと,カットありのフレーズを交互に弾いて解析しています.これでカットがどの音を強調したいのか,演奏者の意図が分かりやすくなったと思います.カットを入れることで,もともと1つの音だったところが,同じ時間内に短い3音が畳みこまれる状態になります.ここにアクセントが生まれ小気味よいダンスチューンのキレ味が表現されるのです

こういう装飾は、仮にスコアがあっても、そこには指示はなく、演奏者が感覚的に挿入するものです。そこには、なんらかの出現パターンがあるわけなんですが、文章で説明するようなことではないので割愛。上手い人の演奏を聴いてコピーしているうちに、なんとなく入れたい場所が出てくるもんです。ちなみに、私は、手が動く限り多用する傾向があります。盛りだくさんのサービス精神です。

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